このところ、ほぼ毎日、本番があります。
一日に一回、たまに二回。
演奏の時間がこんなに続くことってあまりないのですが、
だからこそ出会える発見や気づきがたくさんあって、なんだか楽しいのです。
その中でも、アレクサンダーテクニークのことが、よく思い浮かびます。
もし今、「アレクサンダーテクニークって何?」と誰かに聞かれたら、
こう答えてみたい気持ちです。
「なにかが起きたときに、自分に合った反応をゆっくり選べるようになること。」
たとえば――
ちょっと緊張したとき。
音の感じがいつもと違ったとき。
周りの雰囲気に気持ちがゆれたとき。
そんなときに、つい無意識で反応してしまうのではなくて、
「今はどうしてみようかな?」と、やさしく選びなおす。
それが「反応を選ぶ」ということなんだと思っています。
でも、それができるようになるためには、まず、自分の体がひとつのまとまりとして動けることが大切だなと感じています。
たとえば――
頭がちょっと自由に動いて、
背中がすっと広がるような方向に向かっていけるとき、
からだ全体がのびのびとしたまとまりとして働いてくれます。
そうすると、呼吸にスペースができて、
気持ちにもほんの少し余白が生まれてきます。
その余白の中で、
「いつもこうしてしまう」から抜け出して、
「今はどうしたいかな?」と選びなおせるようになる。
まるで、行き止まりだと思っていたところに、
もうひとつ別の小道が見えてくるような。
その小道を歩くかどうかは自分しだいだけれど、
見えているだけで、なんだか安心できます。
毎日本番があると、
「さっきより呼吸がやわらかくなってきたかも」
「この場面では、こういう動き方もできるんだな」
そんなふうに、自分のプロセスをそっと見守るような時間が生まれてきます。
演奏が終わったあと、
「今日の選び方、よかったな」
とふり返れると、心がふっとほぐれます。
明日になれば、またちがう気づきがあるかもしれません。
でも今は、この「選びなおせるってありがたいな」という思いを、大切にしていたいなと思っています。
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