演奏中にちょっと入り組んだ譜面が出てくると、
「見逃さないように!」とつい力んでしまいませんか?
目をカッと見開いて、音符を目で追って、なんとか正確に…ってがんばるあれです。
でも最近ふと、自分の中で妙な発見がありました。
譜面がちょっとゴチャゴチャしてきたとき、
心の中でこうつぶやくんです。
「眠くて目なんてあけてらんなーい…」って。
なんでしょうね、不思議なことにその瞬間、
目の奥の緊張がふっとゆるんで、
スーッと譜面全体が入ってくる感じがあるんです。
⸻
もしかするとこれは「観の目」ってやつなのかもしれません。
武道の世界では、
• 目を凝らして狙いを定めるような「見の目」
• 全体を感じるように見る「観の目」
という分け方があって、
アレクサンダーテクニークともどこか通じるところがある気がしています。
見よう、見ようとすると、目の周りだけでなく首や肩まで一緒にがんばっちゃう。
でも「眠くて目なんてあけてらんなーい…」とつぶやくと、
その「見ようとする努力」ごと、ふっと手放せる。
すると、なんだか逆に「見えてくる」んですよね。
⸻
たぶん「ちゃんと見るぞ!」っていうのは、
「ちゃんと弾くぞ!」とちょっと似ていて、
それがかえって動きや流れを止めてしまう。
だからといって、なにも見ないわけではなくて、
むしろ、自分のまわりにスペースを残したまま、
音も、視線も、自然とやってくるようになっている。
…そんな、ちょっと力の抜けた視線の使い方って、
意外と役に立つのかもしれません。
⸻
次に譜面が細かくて「しっかり見なければ!」となったとき、
ちょっと心の中でつぶやいてみてください。
「眠くて目なんてあけてらんなーい…」
この、ふっと軽くなる心の中のつぶやきが、
思いがけず助けになってくれるかもしれません。
がんばるのをやめたときのほうが、
ちゃんと見えたり、ちゃんと弾けたりする。
そんなことって、あるんですねぇ。

ゆるゆるっとレッスンしております
No responses yet